地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
「あれ、ユイちゃん?」
驚いてすっとんきょうな声をあげる私に、ジャージ姿のユイちゃんは「あー涼しい!生き返るわ」と言って隣の机に座ると、スポーツドリンクをごくごく飲んでいた。
「部活?」
「うん、サボりに来た」
悪びれるそぶりもなく、ペットボトルを首元に当てて、タオルで汗を拭う。なぜかそれだけで飲料メーカーのコマーシャルの一画を彷彿とさせた。爽やかだな、と見惚れていれば、
「一人でクラスTの申し込み用紙、書いてたの?」
「……一人?」
彼女に言われて教室が静かになっていることに気付き、後ろを見ると、絵の具が塗り終わっている立て看板だけが取り残されていた。
「それ、金魚?璃子のとこは縁日やるんだ!」
蒼井さんの提案で金魚が泳ぐシルエットをTシャツにのせるつもりだが、さっきから尻尾がうまく描けずに書き直してばかり。この金魚はちっとも泳いでくれない。
ユイちゃんはまじまじと私の絵を見ていたが、窓の方に目を向けると、
「あ、もう、そろそろ行かなきゃ!!それじゃ」
慌ただしく教室から出ていってしまった。その後ろ姿を暫く見送って、再び金魚と向き合う。
思い描く姿を表せないもどかしさは今の私自身みたい。私の中の私はいつだって自分の思うままに泳げるのに、人の前に立った私は無様に前を見失う。
驚いてすっとんきょうな声をあげる私に、ジャージ姿のユイちゃんは「あー涼しい!生き返るわ」と言って隣の机に座ると、スポーツドリンクをごくごく飲んでいた。
「部活?」
「うん、サボりに来た」
悪びれるそぶりもなく、ペットボトルを首元に当てて、タオルで汗を拭う。なぜかそれだけで飲料メーカーのコマーシャルの一画を彷彿とさせた。爽やかだな、と見惚れていれば、
「一人でクラスTの申し込み用紙、書いてたの?」
「……一人?」
彼女に言われて教室が静かになっていることに気付き、後ろを見ると、絵の具が塗り終わっている立て看板だけが取り残されていた。
「それ、金魚?璃子のとこは縁日やるんだ!」
蒼井さんの提案で金魚が泳ぐシルエットをTシャツにのせるつもりだが、さっきから尻尾がうまく描けずに書き直してばかり。この金魚はちっとも泳いでくれない。
ユイちゃんはまじまじと私の絵を見ていたが、窓の方に目を向けると、
「あ、もう、そろそろ行かなきゃ!!それじゃ」
慌ただしく教室から出ていってしまった。その後ろ姿を暫く見送って、再び金魚と向き合う。
思い描く姿を表せないもどかしさは今の私自身みたい。私の中の私はいつだって自分の思うままに泳げるのに、人の前に立った私は無様に前を見失う。