地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
手にTシャツの申し込み用紙を大事に持って廊下を歩く。5組から出て3組の前を通ると、数名が談笑しているのが見えた。
ちらっと見えた、その誰もが髪を染めていたり派手な装飾をしていたりして、みんなのよく言う上位グループだと分かった。
この人達も夏休みにわざわざ学校に来るんだな、と思いながら通り過ぎ、職員室に向かう。
それにしても、一歩教室から出た瞬間から暑さが体中にまとわりついて仕方ない。あんまり冷房に慣れるのも良くないみたいだ。
申し込み用紙を持つ手にも汗が出てきている気がして、反対の手に持ちかえてぴらぴらと上下に揺らす。紙の中の金魚もぴらぴらと揺れる。姿は完成したけれど、どこか中途半端な金魚。
私は手を止めて軽く嘆息をもらし、そして、角を曲がろうとした時だ。向こうから来ていた足音に気づくのが遅れ、曲がった直後に危うくぶつかりそうになってしまった。
足に急ブレーキをかけて眼鏡がずれたのも構わず、反射的に「ごめんなさい!」と私が言ったのと、相手の「わっ、ごめん」と言ったのが重なる。
その聞き覚えのある声に、まさかと思って顔を上げたら……
「柊さん……?」
ちらっと見えた、その誰もが髪を染めていたり派手な装飾をしていたりして、みんなのよく言う上位グループだと分かった。
この人達も夏休みにわざわざ学校に来るんだな、と思いながら通り過ぎ、職員室に向かう。
それにしても、一歩教室から出た瞬間から暑さが体中にまとわりついて仕方ない。あんまり冷房に慣れるのも良くないみたいだ。
申し込み用紙を持つ手にも汗が出てきている気がして、反対の手に持ちかえてぴらぴらと上下に揺らす。紙の中の金魚もぴらぴらと揺れる。姿は完成したけれど、どこか中途半端な金魚。
私は手を止めて軽く嘆息をもらし、そして、角を曲がろうとした時だ。向こうから来ていた足音に気づくのが遅れ、曲がった直後に危うくぶつかりそうになってしまった。
足に急ブレーキをかけて眼鏡がずれたのも構わず、反射的に「ごめんなさい!」と私が言ったのと、相手の「わっ、ごめん」と言ったのが重なる。
その聞き覚えのある声に、まさかと思って顔を上げたら……
「柊さん……?」