地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 初めて聞く言葉に私の頬が熱くなった。

「だ、だって、彩音や村川さんの作るスイーツは、どれも美味しいし、綺麗だし……誰だってこうなるよ」

「璃子は特別!璃子の喜ぶ顔を思い浮かべて作ると、上手く出来るもの!!亮ちゃんを思うと、てんで駄目なのに」

 失敗する彩音と、呆れ顔の村川さん。二人の姿が容易に浮かんで失笑する。

「それは村川さんに褒められたくて、頑張りすぎるからじゃない?彩音の行動力は凄まじいもの……ほんと、羨ましい」

 もし、私が彩音みたいに行動力があったなら。

 もし、素直に気持ちを伝えられたなら。

 臆病で可愛くない、可愛げもない私でも立花君に振り向いてもらえるのかな。

「…………璃子、あんた……」

 一人、考えに耽っていた事に気づいて顔を上げる。疑いの眼差しを向ける彩音と目が合って、ぎょっと身を引いた。

「え?あ、ごめん、何でも……」

 ない、と答えかけた私の両肩を彩音ががっしりと掴み、目を覗き込みながら……

「恋、してる?」
< 80 / 220 >

この作品をシェア

pagetop