地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 洸君の嬉しそうな笑顔に、安心する。あの時の無理をした笑顔は見てる方が辛くなったから。

「うん、璃子ちゃんに報告したくて。急に呼び出してごめんね?」

 ……もしかして、会って話したいって、この事?

 いや、別にショックなんか受けてない。期待しすぎていた自分を叱りたい。すぐ調子に乗る自分を。

「あ、勘違いしないでよ。俺、ユイのこと兄妹としか思ったことないし、タイプじゃないから」

「うん?」

「つまり……」

 握られていた手に少しだけ力を込められる。私よりも大きくて、骨張った手。私は顔を上げられないで、騒ぎ出す鼓動の音が聞こえない振りをする。

「俺は冷たくされるより、優しく甘やかされたい……みたいな?」

 ニコニコと首を傾げる洸君につられて、私も首を傾げてみせる。

 つまり、どういう事なのか分からないままだけれど、手を離さないで歩き出した洸君も、私の気持ちなんて露程も知らないんだろうな。

 繋いだ手から私の気持ちが流れたら、洸君はどうするのかな?そのまま繋いでてくれる?離してしまう?

 ……ううん、やっぱり今は分からなくていいや。

 友達として洸君と一緒に居られるだけでも幸せだから。だから、今は……この手を離したくない。
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