いつかウェディングベル

私は電話台に置かれたメモ紙に買い物リストを書いて透に渡した。


取りあえず今必要なものを書き出し今日と明日の二日程度の食材をメモに書いた。


「ここに書いているものを買ってきて。これなら透にも作れるし芳樹が好きなメニューが出来るわ。」


「あ・・・ああ・・・でも、これで何が出来るんだ? 俺、あまり自信ないけど。」


「大丈夫、隣で私が教えるわ。それに、芳樹と一緒に楽しく食事したいでしょう?」


「分かった。じゃあ、芳樹連れて買い物に行ってくるよ。」


そう言って芳樹を連れて一緒に買い物へと行ってくれた。


さっきまでの騒々しい部屋とは違って静かなものだ。


一人透のマンションに残っているといろんなことを考えてしまう。


このまま知らん顔して今の企画が終わるまでここに居座るのか、それとも、私の体調が戻れば元のアパートへ帰るのか。


いつの間にか透との生活が心地よくなってしまっている。


まだ幾日と住んでいないのに、やっぱり私の心は透を求めてしまう。


だけど、透との恋は不毛だと知っている。


その証拠にあの3年前の別れがあるのだから。




RRRRRRR・・・・・


携帯電話から着信音が聞こえてくる。


もしかしたら、透が買い物のことで電話を掛けて来たかな?と電話を手にすると、携帯の画面には「吉富」という文字が表示されていた。

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