いつかウェディングベル
商品管理部門内で何度も打ち合わせをし話し合いをした上で作成されたこの資料。


私が一方的に作り上げた資料ではないのだから。


今回ネット販売される衣料品についての話し合いなのだが、他の社員の意見やデザイナーからの意見・要望も含めて検討された結果なのだ。


「そんなことはありません。昔と違って50代まで幅広く着てもらえます。
今の50代の方はまだ現役だと気分は若いのです。偏った考えで物事を決めつけるのは良くないと思います。」


私の意見だからと透は反対しているのかしら?


だとしたら間違っている。売り上げ報告書や市場調査の資料に目を通していないの?


透は自分の考えで今回の企画にあった商品を考えているのであればそれは間違いだわ。


それに、透の考えはデザイナーを無視している。


まだ無名のデザイナーを多数起用しているけれど、たとえ無名とは言え彼らの意見は無視できないわ。


「しかし、その年代の女性に受け入れられるとは思わないが。第一、年代に合わず品がないし女性らしさが欠ける。」


それは自分の好みに合っていないデザインだからでしょ?


透は清楚で清純派が好みですからね。


私や一般の女性みたいな品のない女はお嫌いですものね。


「そんなことはありません。女性らしい体のラインを目立たせたデザインが主流です。
デザイナーもそこは推しています。デザイナーからの資料には目を通しましたか?見ていないでしょ?」


そうよ、私達が作り上げた資料だけでなくデザイナーの意見までも無視するつもり?


「専務のお好みで選ぶのはよしてください。」


どうせこんな意見を言っても私の言葉なんかに聞く耳は持たないでしょうね。


だったら、こんな会議意味ないわ。


「誰も自分の好みで選んでいない。」


相変わらず冷静な態度で私を見もしない。


資料に目を配っているようだけど明らかに私の意見は聞いていない。


自分の意見を通すつもりなのね。でも、私は私達の企画を通すつもりだからここで透に負けるわけにはいかない。



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