いつかウェディングベル

■バレた関係

加奈子と二人っきりの甘い新婚旅行から戻って来たのは旅行へ発って3日目の午後のこと。


俺も加奈子も幸せに満ちて至福の時を過ごせたことに最高の幸せを感じていた。



「お前ら、気持ち悪いくらいアツアツだな。」



親父の憎まれ口など今の俺達は痛くも痒くもない。ましてや、俺達へ向けられたはなむけの言葉として捉えてしまう。



「透、私もそろそろ会社へ戻りたいの。明日から会社へ行くわ。良いでしょう？」


「お義母さんのところへは行かなくてもいいのか？　それに、加奈子だって疲れているだろうに。体は大丈夫なのか？　昨夜もかなり無理させてしまったから、俺は心配なんだ。」


「大丈夫よ。透が元気を沢山分けてくれたからとても幸せよ。」




そんな甘いやり取りをしていると親父もお袋もかなり顔を赤くして黙り込んでいた。


顔を赤くするほどに卑猥な会話をしていたのか？と、自分では気付かない程に加奈子とは甘々な会話をしていた。



「まあ、お前達ももっとじゃれて居たいだろうが、ここは芳樹もいるし他の家族もいることだし。その、もう少し周りに対して配慮をしてくれよ。」



親父が何を言いたいのか大体のことは察しはつく。


要は俺と加奈子とで新婚夫婦の甘い時間の会話を皆のいる前ではするなと言いたいのだろう。


しかし、新婚夫婦なのだから、これは当然と言えば当然のことじゃないのだろうかと俺はそう思っている。



けれど、親父達のような年齢の大人に言わせれば俺達の会話は常識では考えられないものがあるのだろう。




「そろそろマンションへ帰るか・・・・・・」



加奈子と芳樹との親子での生活に戻るべきか？と、少し思い始めてしまった。


世代の差はどうしても越えられないものがある。


そうなると加奈子の精神的苦痛を減らすには両親との別居も検討した方が良さそうだ。