いつかウェディングベル
「そうよね、あれは社長が私達の結婚式の写真を使ったのだから、これは仕事と言うより夫婦の家族の問題よね?」
「ああ、そう思ってくれると助かるよ。」
加奈子はまだ若いから短気なのか、それともこの性格が短気なのか、今はどちらでも構わないが加奈子の感情のままに行動に移すのをそろそろ止めさせなければならない。
加奈子には考えてから行動に移すと言うのを覚えてもらいたいから。
「加奈子も腹立たしいと思っている事は俺も知っているよ。だから、これは俺に任せてくれ。」
「ええ、良いわ。透に任せるわ。じゃ、行きましょう。」
「・・・・行くって?」
「だから、社長室でしょう?」
今、俺は、感情のままに行動を取らせたくないし、揉め事を大きくしない為にもここで待っていろと話したばかりなのに。
加奈子には俺の気持ちは全く通じていないのか?
それとも、加奈子には日本語が通じないのか?
俺は加奈子を引き留める為にも椅子を引きそこへ腰を下ろした。そして、加奈子にも椅子に座るようにテーブルから椅子を引きだした。
「何を悠長に座っているの? 一刻を争うんでしょう?」
「それは俺が話し合いに行くのであって君は行かないんだ。」
「どうしてよ? 今、言ったばかりじゃない。これは夫婦の家族の問題だって。なら、私達二人が交渉に行くのが当然よ。」
「家族間の話し合いだから俺に任せて欲しいんだよ。俺を信用できない?」
「それとこれとは別よ」
「別じゃない。俺が信用できないんだろ?」
「どうしてそんなこと言うの?透のこと信じているわ。」
信じると言いながらも俺の言葉に従おうとしない加奈子に俺は少し苛ついている?
それは、加奈子を妻として俺の支配下に置こうとしているのか、専務としての立場がそうさせるのか、俺としても複雑な気持ちはある。