いつかウェディングベル
最近はこんなやり取りばかり。これでは職場に迷惑を掛けてしまう。
早くこんな日は終わらせなければいけない。
「部長や課長には関係ないことです。部長たちの首は繋がっていると思いますよ。」
とにかくこの役職の人を安心させないことには五月蠅くて終わるものも終われない。
「そう言う問題じゃないと思うけどね。商品管理部門みんなに影響与えないといいけど。」
冷静な見解を述べてくれたのは同僚の岩下君。
日頃この手の社員の会話に口を挟まない人だけど今回は私が目障りなのだろう。
連日騒動ばかり起こしているのは間違いないし、確かにここのみんなに迷惑をかけている。
私は岩下君には何も言い返す言葉が見つからない。
蟹江さんも吉富さんもどう言葉を発していいのか困っている様子。
そんな中一人お気楽な人が私の所へとやってくる。
「大丈夫、俺が田中さんを守るからね!」
江崎さん、誰もそんな言葉望んでいないし、誰もあなたの言葉は耳に入ってきません・・・
そんな江崎さんを見てみんなため息をつくと、それぞれに自分の持ち場へと戻って行き通常の業務が開始する。
「え? どうしたの? 田中さんには俺がついているからね! 安心して!」
いい加減にこのお気楽な人をどうにかできないものだろうか・・・
私もため息が出てしまう。
だけど、
こんな周りの空気が読めない江崎さんのおかげでいつもの職場へと雰囲気が戻って行った。
まさかとは思うが、この人がこんなのを狙ってやったとは思えない。
たぶん、そう言う人ではないからね・・・
おかげですっかりやる気がなくなった。
机や私に割り当てられた棚などの整理整頓を始めるも昔の資料などを見て胸が痛んだ。
入社して早々、楽しい企画に吉富さんや蟹江さんに鍛えられ覚えれば覚えるほど仕事は楽しかった。
仕事の面では厳しかった二人だけど、とても相手のことを思いやる気持ちが強く私もそんな二人に影響を受けた。
とくに吉富さんはプライベートでも助けに入りたいと私にアプローチをしてきた。