いつかウェディングベル
加奈子とのすれ違いの生活も結婚式までだからと俺は不平不満を言うのを止めることにした。
加奈子は夢に見た結婚式をやりたいといい、俺はそれを実現させたいと思った。
だったら、今の加奈子を見守るしかない。そうと分かっていても心の中はかなり難しい。でも、俺は一応努力している、加奈子の夢を実現するために。
「透、遅くなったけど。」
週末の朝食の時間の事だった。
家族揃って食事をしていた時に加奈子は俺へカードを手渡した。
それはとても煌びやかで可愛いデザインで、如何にも女が好きそうな白とピンク色のカードだった。
何かのお祝いのカードだろうかと考えたが、思い当たる節はなく俺には見当のつかないカードだった。
ところが、カードを開き内容を目にすると思わず俺は飲みかけていたコーヒーを溢してしまった。
「結婚式の招待状?!! それも、これ、来週じゃないか?!!」
それは俺と加奈子の結婚式の招待状だった。
それも、挙式の日付は1週間後だ。いきなりこんなカードを手渡され俺はハッキリ言って動揺していた。
なのに、加奈子は俺を驚かそうとしていたのか、俺の反応にかなり嬉しそうにしていた。
「加奈子・・・・まさかとは思うが、招待状はもう送っているよね?」
「勿論よ、招待客の人達からはもう出欠の返事が殆ど来ていて準備万端整っているわ。」
「加奈子、本当に君は俺を驚かすのが好きなんだな。」
「そんなつもりはないのよ。もう、透を驚かすものなんてなにもないわ。今までごめんね。」
久しぶりに加奈子とこんなゆったりした時間を過ごすような気がする。
今日は一日中、加奈子とのんびりできそうだ。