いつかウェディングベル

きっと、加奈子は仕事に追われ精神的に相当なダメージを負っているんだろう。


それに、これまで業績を上げることに必死で突っ走ってきた加奈子だけにストレスも相当なもののはず。


そんな加奈子を癒せるのは俺だと思っている。


だから、帰宅した加奈子を俺がしっかり解してやろう。




「それで、この手はなんなの?」


「だから、マッサージでもしてやろうかと・・・・」


「肩のマッサージなら後ろからやってよ。どう見てもそれって胸を揉みそうな手つきだわ。」



加奈子の癒し作戦を考えていたのにあっさりと断られてしまった。俺は加奈子を癒そうと心も体も解して俺のこの黄金の指で天国を味合わせようと思っていたのに。


見事に撃沈してしまった。


ただでさえ新会社設立の為に仕事に時間を割いてきた加奈子との距離が離れそうにあった俺達。


それでは夫婦の間に亀裂が入りそうで俺は何とか加奈子を誘惑し続け二人目の子どもを授かった。


と言っても、ハネムーンベビーなのだからあまり誘惑とは関係はなかった。


それでも夫婦の絆を深めることは出来た。


なのに、奈美が生まれてからというもの、加奈子に触れることさえままならない。


新婚当時の俺を考えれば恐ろしいほどに加奈子に触れていない。


夜毎誘惑しようにも完全無視されるし下手すればベッドを別にしようなんて言われかねない。


奈美が夜泣きするからと最近では加奈子は子ども部屋で芳樹や奈美と一緒に眠る。


これは完全に夫婦の危機ではないのか?



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