いつかウェディングベル
「日下さんも美薗さんもどんな式をお考えですか?純白のウェディングドレスを着て教会で挙式も憧れますけど、純和風に白無垢で神前結婚も素敵ですよ。神前結婚しても、その後にカクテルドレスにお色直し出来ますし続けて着物で振り袖を着ても素敵ですよ。」
結婚式の話となると本当に加奈子は話が止まらなくなる。
俺はあまり延々と聞かされると鬱陶しく感じるが日下さんはそんな人では無さそうだ。
美薗さんを本当に大事にしているようで一生懸命加奈子の話を聞いていた。
すると、ウェディングドレスの話で盛り上がっていると興味をもった人達が一人二人と集まってきた。
どうやら結婚が決まった人やこれからその予定の人らが興味を惹いたようで加奈子にアドバイスを求めていたようだ。
そんな人たちですっかり大きな輪が出来てしまい、俺は蚊帳の外になってしまった。
最近ではお金を掛けない人が多いけどこだわりを持った人は多い様だ。
そんな人達を顧客に持ち結納から挙式までをプロデュースするのは楽しそうだ。
それに、こんな社交の場に出てくるような家柄の者は質素倹約とはいかない。
加奈子にはもってこいの客層だ。
そう考えると加奈子をこんなパーティへ誘うのは売り込みの為にも丁度良い。
それに、ある程度の肩書きを与えて加奈子の代理として吉富に出席させるのも良いかもしれない。
当初は加奈子の義父にもそれなりの仕事をと考えていたが職種が合わないからと断られてしまった。
住まいを提供し当座の生活費まで援助したものだからそれ以上はと断られてしまった。
元々営業の仕事が好きだと聞いたときは加奈子のウェディング会社に関わってもらおうとしたけれどダメだった。
だからと俺の罪滅ぼししたさに無理に頼んでも、それは単に俺の自己満足にすぎない。
加奈子の両親が幸せに暮らしてこそ意味があるのだから。