いつかウェディングベル
「加奈子のお義父さんは花屋で働いていたよね。そこでウェディング用の特別なブーケを作って貰うのはどうだろう?」
「そうね、あのお店なら扱う花の種類も多いし素敵なブーケをデザインしてくれるオーナーもいるものね。父に相談してみるわ。」
脚が少し不自由な義父を雇用する会社は少ない。そんな中、義父が自分で見つけたのが花屋の配送や店頭接客の仕事だった。
あの顔に似合わずに花には詳しいし扱いもよく知っている。
俺にはサッパリわからない分野だが義父には楽しい仕事のようだ。
折角ならば加奈子の会社の発展と共に義父のお店も繁栄してくれると嬉しい。
俺達に出来るのはこれくらいだから。
これくらいで親孝行の真似事が出来るなら喜んでするよ。
「透」
皆が結婚式の話で盛り上がっていると加奈子がみんなの輪から出てきて俺を見つめては腕に抱きついた。
「どうしたんだい?」
「ありがとう、透。」
俺には加奈子のお礼なんてくすぐったいけれど、このくすぐったさが幸せなのだと感じる。
加奈子の笑顔が俺の幸せだといつもそう感じている。
そして、そんな加奈子と一緒に過ごす子ども達もまた笑顔の耐えない日々を送っている。
そんな生活のなかで過ごせる俺は最高に幸せな男だろう。
加奈子、ありがとう。
そして、
いつまでも愛している。