いつかウェディングベル
午前中は配布用の資料を作成したり受付テーブルを準備したりと忙しい時間を過ごした。
それでも、皆は楽しそうに手伝ってくれる。
とても有難いことだけど、肝心な透の反応を考えると少々気が引ける。
が、これも会社の為だから。 透、ごめんね!
「田中さん、お昼休みに私は社員食堂へビラ配りしてくるわね。」
「あ、坂田。それ、俺も手伝うよ。受け付けは江崎さんと蟹江さんが居れば大丈夫だろうし。宣伝の方の人員も必要だろ?」
「坂田さんも岩下君もそれじゃあお昼ご飯食べる時間がないじゃない。それ、私がやるわよ。」
「昼休みが一番みんなに話を聞いてもらえやすい時間帯だからな。自分らのご飯なんて後回しで良いよ。」
「私も同じよ。せっかくならとことんやりましょうよ。」
岩下君って冷めている人だと思っていたけど、想像以上に燃えるタイプのようだ。
坂田さんも普段はホンワリしていて頼りなさそうなイメージがあるけど本番ではそうじゃないのね。
二人ともしっかり商品管理部門の人間なんだ。
「江崎と蟹江だけじゃ受け付けは大変だろうから俺も昼休みは手伝うよ。」
「吉富さん!」
一番最後まで納得した様子のなかった吉富さんまで受け付けをやってくれる。
いつも迷惑ばかりかけている吉富さんには頭が上がらない。
だからじゃないけど、しっかり頭を下げてお願いした。
「同じ職場の仲間だろ? お互いに支え合わなくてはな。
それに、お前が心配で放っておけないんだよ。」
「ごめんなさい」
私にはそれ以上何も言えない。
それに、ここは職場なのであまり個人的な話は遠慮して欲しいのだけども・・・