いつかウェディングベル
昼休み返上で商品管理部門全員が一丸となって宣伝した結果、予想以上に反響は大きかった。
「初日なのにすっごい社員の注目浴びていますよ。もう~宣伝しなくても皆から聞きたがるから説明するのが大変でしたよ。そちらはどうでした、蟹江さん?」
「大変だったみたいね、社員食堂は。他の課の子から状況は聞いたわよ。
こちらも受付とアンケート箱は順調の出だしよ。それにあの内容でしょう? 注目度が違うわよね。」
坂田さんも蟹江さんも少し興奮気味で話していた。
昼休みに食事が出来なかった皆は、交代で食事を済ませていた。
だけれど、思った以上に反響があったことと宣伝初日ということで、皆簡単に食事を済ませこの日は宣伝に時間を割いてくれた。
午後になると一度受付の所で皆が集まり現在の状況を説明しあった。
「それにしても流石俺の田中さんだけあってこの行動力は凄いよね♪ もう~ 俺自慢しっぱなしだよ。」
「どこ行っても反響は凄かったわね、岩下君なんか女子社員に囲まれて大変だったのよ。」
「俺の田中さんもどこへ行っても人気者で俺鼻高々だったよ~」
「坂田、お前も男性社員にいろいろ聞かれていたじゃないか。」
「だから!俺の田中さんは」
「江崎さんの田中さんはよく分かったから、向こうで田中さんのスナップ写真でも確認しててくれませんか?」
完全に坂田さんと岩下君の会話の邪魔となった江崎さんは私の写真に釣られどこかへと行ってしまった。
「江崎はどこへ行くんだ?」
「放っておきましょう。」
岩下君の冷たい言葉にその場にいた他の社員一同納得して頷いていた。
吉富さんは特に安心したような顔をしていた。
「それにしても専務をよく説得できたものだな。」
少し不機嫌気味な吉富さんの私を見る目つきが少し厳しく感じた。