キミはヒーロー。
「君、可愛いね!名前は?」
人生初のナンパ!
なんて舞い上がれるわけもなく。
「あっあの、さっ先を急いでるので…」
声を出すのも精一杯。
人通りが少ない路地だから、助けを呼びたいけど人が見当たらない。
「そんなことより、俺と楽しいことしない?」
そう言って、腕をつかまれた。
「ひっ…!」
情けない声が響く。
どんな声が響いたところで助けは呼べない。
そんな不安で、わたしは涙がでそうだった。
「俺の彼女に何してんの?」
ふわりと優しい甘い香りが香る。