その夜、ギターは、ひそやかに泣く
大人がいた。
背広の男の人たち。
黒いスーツの女の人もいる。
騒いでいる。
ワカモノよりも、うるさい。
よっぱらっているのだ。
スカートの短いセーラー服のおねえさんたちが通りかかったら、大人たちは「早く帰れ!」とどなった。
おねえさんたちは悲鳴を上げた。
あの大人たち、サイテーだ。
「おい、そこの、ちっちゃいおじょうちゃん!」
しまった、目を付けられちゃった。
よっぱらいの大人たちが近寄ってきた。
すずの苦手なお酒のにおいが、アーケードの空気をじわじわとむしばんでいくようで、気持ちが悪い。
すずは息を止めた。
回れ右をする。