みんなの冷蔵庫(仮)1
「会長が消えた時の話までです」


俯いて膝の上で重ねた親指の爪を触る私に代わり、佐田さんが答えた。

京極はふーん、と言いながら、私の肩に両手を置く。

突然添えられたそれを、私は右手で交互に叩いた。

パチンと小気味よい音が響く。


「何をする」


京極は素早く両手を引っ込める。


「いちいち触らないで」


私は後ろを振り向かず、ぷいと斜め上を見て強い口調で返した。


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