みんなの冷蔵庫(仮)1
「好かれないのは慣れてるけど……女性には割と好かれる方だったんだけど」


今まで散々マイペースだった京極が、意外な程しおらしい声を出した。

伏せた瞳に長い睫毛が影を作る。

言い過ぎたかな……

一気に不安になる。

京極を傷付けたかった訳ではなかったのに。

少し淋しげに俯いた横顔は、濡れたように艶っぽく、また少し胸がざわつく。

いや、細胞のせいかも。


「くらら。父が消えてからの話を詳しくするから、僕の部屋に来て」


何か考えていたような顔をすぐ上げ、にっこりと微笑む京極につられ、思わず微笑み返す。

その笑顔には、さっき落ちた影はもう見当たらなかった。

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