みんなの冷蔵庫(仮)1
「早速だが、馬鹿な女に英語やら中国語やら教えてやってくれ」


「馬鹿な女」は引っ掛かるが、電話中なので手出しは控えた。

京極の顔に軽い焦りが出てくる。相手に断られたのだろうか。


「前欲しがってた車が買える程の値段の絶版本とやらを買ってやるから。こら! まだ話は終わってない! 忘れたのか? 一度僕の方がバレンタインのチョコが多かった年があった事を!」


最後にバレンタインの話なんて、お前は子供か?! とツッコミたくなるような、意味不明な台詞を言った後、電話は切れたみたいで、京極は苛立った顔でディスプレイを睨み付け、乱暴にそれをポケットにしまった。

「くそ、斎め。女といやがるな」などとぶつぶつ言っている。


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