みんなの冷蔵庫(仮)1
私を振り返ったシグマの手にしていた物は――


「なっ、何これ?!」


――白いナース服だった。


「何って、見ての通りナース服だ。ピンクと水色もある。ナースキャップはそこの引き出しの中」


しれっと言う京極の腹に、とりあえず右の拳を繰り出す。


「見たら分かる! そうじゃなくて、何でこんな物持ってんの!?」


六畳程あるウォーキングクローゼットの中に、びっしりと並ぶ色とりどりの服……というか、もはや衣裳。

シグマは「あ、聴診器みっけ!」などと言いながら、クローゼットの中をあれやこれや物色している。


「だから、『趣味』だって言っただろ」


京極は片手でお腹を摩りながら、前髪を反対の人差し指で払った。

私は明らかに変質者を見る目を京極に向ける。


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