みんなの冷蔵庫(仮)1
シグマが手に白衣を持ち、クローゼットから一歩こちらに出てくる。


「キョンキョンすごーい! すごく、変態なんだね!」


シグマの喜々とした声に、私も京極も固まる。


「俺、初めて見た! 本物の変態!」


一瞬の沈黙の後、私は堪らずお腹を抱えて笑いだす。

私が涙目になる程笑っていると、京極がシグマの手から白衣を奪い取り、さっとそれに袖を通す。


「シグマ、お前も成人すればわかるさ。僕の趣味の素晴らしさ」

「私もうすぐ成人だけど、変態は変態にしか見えないよ」


私はまだ笑いながら、片手は自分のお腹、もう片方の手は京極の肩に乗せる。

その時振り返った京極がハッとする程かっこよくて、笑いが一瞬にして引っ込む。

前を開けた白衣が妙に似合ってて、ちょっとむくれた顔が少し幼くて。

へ、へへ、変態なのに!!

変態なのに、私の細胞が騒ぐ。



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