みんなの冷蔵庫(仮)1
「私、泣き虫じゃないよ」


もう泣きそうな気持ちは完全に引っ込んでいたが、シグマにそれを見破られた事が恥ずかしくて、すねたように言った。


「泣き虫だよ」


シグマの方こそ、悲しそうな目をしてこちらを見上げてくるから、思わず小動物をギュッと抱きしめたくなるのに似た感情が湧く。

母性本能かな、なんてぼんやり思いながら、ソファーに背中を付ける。

その拍子にワンピースが背中に張り付き、思った以上に汗をかいていることに気付く。

京極に渡されたハンカチで額を押さえた。


「ありがとう」


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