みんなの冷蔵庫(仮)1
「くららちゃんは昔から泣き虫で、頑張り屋さんなんだよね」


シグマはソファーの背のてっぺんに両手と頬を置き、座面に膝を折って乗せた逆向きに座った状態でこちらを見た。


「泣き虫でも頑張り屋でもないよ」


私はいつもシグマを守ってやってたじゃない。

そう思って、すぐに思い出す。

そういえばシグマはいつも泣かなかった。


「泣き虫だったよ。俺がいじめられたらすぐに立ち向かってくれるんだけど、泣きながらキックとかしてたし、学校のウサギが死んだ時もずっと泣いてたし」


シグマはにこにこと笑顔をこちらに向け、楽しそうに話す。


< 189 / 491 >

この作品をシェア

pagetop