みんなの冷蔵庫(仮)1
「恥ずかしくないよ。俺、くららちゃんのそんなとこ本当大好きだったよ」


シグマが真ん丸できらきらと澄んだ瞳で見上げてくる。

私も穏やかな気持ちで見つめ返し、大きく息を吸って

「ありがとう」

と、精一杯の優しい声で言った。


ノックがして曲線が美しいガラスのピッチャーに入ったリンゴジュースとグラスがワゴンで運ばれてきた。

それに目をやり、そのまま壁に掛けられた時計を見る。

時計は間もなく4時を指そうとしていた。


「やばい! 今日バイトなの」


うっかりしていた。


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