みんなの冷蔵庫(仮)1
手にしたままのハンカチと京極を交互に見て立ち止まる。


「これ……」


返そうにも汗を拭いてしまったし、洗って返すにしても私の部屋には洗濯機はあるけど、アイロンがない。

借りた時の様に、ピシッと折り畳んでは返せない。

クリーニングしかないかな、と考えていると、京極が肩を抱くように腕を回した。


「いい、やるから持ってろ」


耳元で囁かれ、びっくりとドキドキで手の中のハンカチを強く握りしめる。


「佐田以外の人間には、彼女だと思わせておきたい」


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