みんなの冷蔵庫(仮)1
車は減速し、マンションのすぐ隣にあるコンビニの駐車場に停車する。

車から降り、ドアを開けてくれた佐田さんの表情にはどこか影を感じて、胸が騒ぐ。

大人の男の魅力、なのか。
少し上げた唇の端に魅惑的な色気すら感じる。


「ありがとうございます」


私はハンドバックが入った紙袋ごと手にして車を降り、佐田さんと向き合ってから頭を下げた。


「明日午前10時、私が迎えに参ります」


静かにドアを閉め、佐田さんが優しく微笑む。

私は小さく頷き、マンションに向けて足早に歩き出す。


途中、振り返ってみたかったけど、やめた。

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