みんなの冷蔵庫(仮)1
「体調悪そうだし、片付けはいいから今日はもう帰っていいよ」


奥さんに優しくそう言われ、私は俯いた。

大丈夫です、と言って片付けを始める事もできたのに、

「すみません、ありがとうございます。お言葉に甘えます」

そう言って制服代わりのエプロンを外した。


大将と奥さんとバイトの子に挨拶をして、店を出る。

激しさは大分落ち着いたみたいだけど、まだ降り続く雨。
お客さんの古い忘れ物の傘を借り、ほんの数百メートル先のマンションに向かって歩き出す。


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