みんなの冷蔵庫(仮)1
「くららちゃ――ん」


こっちは頭の中がショートしそうになってるってのに、車内からのんびりした声がする。

イラっとしてきつい視線を向けると

そこには

懐かしい
でも、信じられない光景……

光が、放たれていた。


茫然とする私に、背後から囁くような声がする。


「くらら、君も出せるよね? あの光」


間違いなくシグマ本人だという事がわかった、車内の男の両手の間では。

パチパチとピンク色の火花が散っている。


「あんた、何したいの?」


振り向きもせず、シグマが放つ光を見つめたまま言うと、男はうーん、と言いながら、軽く息を吐き出した。


「冷蔵庫を開けてもらいたい」


またもや支離滅裂、全く意味を理解できない内容だったけど、でも、もう私の心は決まっていた。

車に向かって歩き出し、はっとして数歩後ろの男を振り返る。


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