みんなの冷蔵庫(仮)1
「きゃあぁぁ! 誰か!!」


叫んでも、雨で声が響かない。

傘は私の手から離れて宙を舞い、逆さに落下する。

あのコンビニまでこの通りは閉まった店舗や会社しかない。

走らなきゃ!あともう少し!


「きゃっ!!」


急に肩を掴んで強く後ろに引かれ、バランスを崩して倒れるのを待ち受けたかのように追って来た男が抱き留める。

暗くてよく見えないが、濡れたスーツっぽい服に頬が触れ、体中に鳥肌が立つ。


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