みんなの冷蔵庫(仮)1
確かに私は女性で、一人暮らしで、こんな夜更けに男の人を家に上げるなんて、我ながらなんて大胆なことを、と思う。

でも、今は佐田さんにいて欲しい。
すぐ側にいて欲しい。


行かないで、とは言えない。
先程抱き着いてしまったのは、勢いがあったからで、冷静さを取り戻してしまった今は絶対無理だ。



コンビニ横で佐田さんに抱き着いたまま、私はかなりの時間泣き続け、佐田さんは私の涙が枯れるまで雨の中黙ってずっと待ってくれていた。

肩に乗せられていた大きな手がそっと私の頭に伸び、優しく何度か撫でてから
「もう大丈夫」
と囁かれたあの時、やっと私は落ち着いたんだと思う。



< 231 / 491 >

この作品をシェア

pagetop