みんなの冷蔵庫(仮)1
「家まで送りますから」
佐田さんはそう言って私の頬に張り付いた髪をそっと耳にかけてくれた。
その時初めて恥ずかしさが押し寄せ、一気に我に帰った。
なんで私はあの時「佐田さん助けて」なんて叫んじゃったんだろう、とか、抱き着いてしまったんだろう、とか、人前で泣いてしまった事だとかを、取り消して欲しい衝動に駆られながら、佐田さんの体から腕を離した。
それでも、急に離れると心細くて仕方なくて。
マンションの方角を向いた後ろ姿の佐田さんの左手に、そっと自分の指を重ねる。
手を繋ぐというよりも、指が触れるだけの、重ねただけの密着が、私に安堵をもたらした。
拒まれないかと不安な目で見上げると、佐田さんはちょっとだけ照れたような顔で振り返った。
目を細め、微笑んだまま
「行きましょう」
そう言って、私の指を強く握り返してくれた。
佐田さんはそう言って私の頬に張り付いた髪をそっと耳にかけてくれた。
その時初めて恥ずかしさが押し寄せ、一気に我に帰った。
なんで私はあの時「佐田さん助けて」なんて叫んじゃったんだろう、とか、抱き着いてしまったんだろう、とか、人前で泣いてしまった事だとかを、取り消して欲しい衝動に駆られながら、佐田さんの体から腕を離した。
それでも、急に離れると心細くて仕方なくて。
マンションの方角を向いた後ろ姿の佐田さんの左手に、そっと自分の指を重ねる。
手を繋ぐというよりも、指が触れるだけの、重ねただけの密着が、私に安堵をもたらした。
拒まれないかと不安な目で見上げると、佐田さんはちょっとだけ照れたような顔で振り返った。
目を細め、微笑んだまま
「行きましょう」
そう言って、私の指を強く握り返してくれた。