みんなの冷蔵庫(仮)1
嬉しいんだけど、何だか不思議な気持ちになった。

さっき初めて会ったばかりの人に危ないところを助けて貰い、今こうして手を繋いで歩いている事が、不思議で仕方なくなった。


「佐田さん……ごめんなさい」


謝罪の気持ちが、突然口をついて出る。
少しだけ前を歩く佐田さんが、首だけこちらに向けた。


「くららさんが謝る事は何もないです」


そう言って、キュッキュッと二回、握る手に力を込めてくれた。


私はこの人を好きになってしまったのかもしれない。

自分の中のもう一人の自分が、そんな風に思った。


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