みんなの冷蔵庫(仮)1
一瞬、全身が震えたかと思った。

佐田さんの力強く低い声が、私を抱きしめた。

何も言えなかったが、見つめ合うと体が熱くなる。


「じゃ、行きましょうか」


あんな私の全てを痺れさせるような事を言っておきながら、あっさりとエレベーターを降りようとする佐田さんに、思わず膝蹴りをお見舞いしたい心境になる。

無意識でやってるのか、私が小娘だからとからかっているのか……
恐らく前者だということは、毎度真剣な面持ちであることから推測できるけど、でも、少し悔しい。

扉に手をかけて、
「どうぞ」
と促されるまま外へ出た。

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