みんなの冷蔵庫(仮)1
先程乗った高級車はマンションの来客用駐車場に停まっていた。


「あの……助手席じゃ……ダメですか?」


勇気を出して言うと、佐田さんは表情を曇らせた。


「すみませんが……目立たないよう、念のため後ろに座って頂けますか?」


「変な事言ってすみません」


しょんぼりと肩を落とすと、後部座席のドアを開け、
「後ろも助手席に負けない坐り心地だと思いますよ」
なんて笑顔で言ってくる。

に、鈍い!鈍過ぎる!!

そんな理由で助手席に座りたい訳じゃないのに。


でも、そんなところも愛しい。

もしかして、これは恋なのかも。

私の恋が、始まってしまったのかもしれない。

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