みんなの冷蔵庫(仮)1
まだくらくらしながらも、そのまま両手で京極の二の腕を掴んで上に持ち上げ、その下をくぐる。

ドキドキし過ぎて死ぬかと思った。

さっき思い切りできなかった分、今、慌てて空気をめいいっぱい吸い込んだ。


「なんだ、嫌か? 今のはご褒美だったんだけど」


そう言って顔を近付けてきた京極のお腹の辺りを正拳突きすると、今回はひらりとかわされる。

私の拳は力の発散場所を失い、体のバランスも崩れて前のめりによろめく。


「なんだ、パンチにキレがないな。やはり嫌な気はしなかったとか?」


京極はさりげなく私の肩を抱き、首を傾げて覗き込むように言った。

悔しいけど、お陰で膝を着かずに済んだ。

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