みんなの冷蔵庫(仮)1
私は声を張り上げ追い掛ける。

廊下に出ても、もうシグマの姿は見えなかった。


私の部屋は奥から二番目で、隣がシグマの部屋、そのさらに隣が京極の部屋だ。

二人の部屋の前を通り過ぎてすぐに現れる、オペラなんかの舞台上で使われるような、広く真っすぐな階段を降りる。

昨夜私が飛び出した厨房から、朝食の匂いがした。
さて、シグマはいないしどうしたものかと、廊下をうろうろしていると、厨房と廊下を挟んで向かいの部屋の扉が開いた。


「あ、くららさん。おはようございます」


ネクタイをしていない白いシャツに、黒のパンツ、その上にブルーのエプロンを付けた佐田さんが、爽やかな笑顔を向けてくる。


< 270 / 491 >

この作品をシェア

pagetop