みんなの冷蔵庫(仮)1
京極は慌てて目を擦る私の肘をぐいぐい引っ張り、部屋から出る。

廊下に出てすぐのところで、厨房から出てきた佐田さんとぶつかりそうになった。

私は咄嗟に俯く。

京極に言われて気付いたが、起きてから一度も鏡を見ていない。

今自分がどんな顔をしているのかわからない。

でも多分、酷い顔をしているはずだ。
だから、今更だけど佐田さんに見られたくない。

それに……さっきの京極の言葉がまだ胸にトゲを刺したままだった。


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