みんなの冷蔵庫(仮)1
一瞬意味が分からず、もう一度京極の発言を頭の中で再生してみる。


「やだ、私達そんなんじゃなかったよ。シグマは恋とかするキャラじゃなかったし」


今のシグマなら高校生だからあるかもしれないけど、あの時のシグマが恋だなんて……しかも、私にだなんて、ただもうおかしくて、私は言いながらも我慢できずに吹き出した。


「お前はいろいろとあれだな……まあいい」


京極は、さっと一筆で描いたように綺麗な弓なりの眉を寄せ、口の中でごにょごにょと何かを言いかけ、飲み込んだ。


「さあ朝食にしよう」


京極がそう言ってドアを開ける頃には、昨夜の怒りや、さっきまでのモヤモヤなんかは全部吹き飛んでいた。


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