みんなの冷蔵庫(仮)1
本当だ。
なんで佐田さんが朝食なんて作ってるんだろう。


「とりあえず、今朝無理矢理社員旅行と称して皆で三日間旅行に行かせた。皆じゃないと不自然だからしょうがないが、コックも行かせたのはミスだったな」


京極は佐田さんの煎れた熱い緑茶を飲みながら、渋い顔をした。


「なんで?」


私とシグマの声がほぼ同時に出た。
昨日まで普通にいた使用人達が、急に全員いなくなったりしたら困るだろうに。


「シグマの時は宣伝をしたから感付かれるのも分かるが、くららはいわばシグマの紹介だ」


京極はテーブルの上に両肘を着き、組んだ指で口元に触れる。
少しだけ困ったような表情に、言葉を選ぶように左右に動く瞳。




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