みんなの冷蔵庫(仮)1
「でも施設っていっぱいちびっこいて楽しいよ」


シグマはそう言って人差し指で鼻を擦って笑って見せた。


「俺、進学もしたいし、いつかお母さんとも一緒に暮らしたい。だからキョンキョンのとこにお金貰いに来たんだ」


屈託のない、いつもの表情で私を見つめるシグマに、私はかける言葉が見つからない。


「でも俺お金だけじゃないから。キョンキョンのお父さんに帰ってきてもらいたいって、すごい思ってる」


その眩しい笑顔に釣られるように微笑み返すと、シグマは椅子に座ったまま上半身を倒し、ごろんと私の膝の上に頭を転がし、下からにこにこと見上げてきた。


「くららちゃん、俺、昔からくららちゃんと一緒なら何だってできる気がしてたよ」


最初突然の膝枕にびっくりしたけど、シグマがこうして甘えてくれた事がなんだか嬉しくて、上を向いた広いおでこに手の平をそっと乗せた。


< 294 / 491 >

この作品をシェア

pagetop