みんなの冷蔵庫(仮)1
今までと違い、両手を前に突き出して息を整える。


「やるだけやってみるから、くららちゃん下がってて」


私はテーブルから離れて窓の側まで行き、シグマの背中を見守った。

肩甲骨のもり上がりが、シャツの上からでもはっきり分かる。

そんなに広くはないけれど、シグマも大人になったんだな、としみじみ感じる背中だった。


二、三分経っても何も起こらないので、湯呑みの時のようにあっさりとはいかないのだろうかと、不安な気持ちで見つめていると、シグマが小さく叫び声のようなものを漏らした。


「やばいっ!」


そう言ったように聞こえた。

< 332 / 491 >

この作品をシェア

pagetop