みんなの冷蔵庫(仮)1
「セーフ」


シグマはそう言って胸を撫で下ろし、床に転がる椅子の側まで行き、片手でそれを起こした。


「ちょっと失敗しちゃったね」


残り四脚重なった椅子を下ろしながら、シグマは肩をすくめて言う。


「イメージがはっきり固まる前に出しちゃって、マズイ! と思った時には遅かったって感じ」

「怪我がなくてよかった」

「うん。ごめんね」


二人共、なんとなく深い話を避けるように、椅子を元の場所に戻した。


< 334 / 491 >

この作品をシェア

pagetop