みんなの冷蔵庫(仮)1
「会長が消えました」


この時の僕は全く事態を理解しておらず、父が新しい女でも作り、佐田を撒いてどこかへ消えた、という事だろうかと、頭の片隅で思っていた。


「私の目の前で消えたんです……すみません」


佐田はよほど受話器にかじりついているのだろう。
語気は荒くないのに、騒がしい会場内でもはっきり声が聞こえてきた。





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