みんなの冷蔵庫(仮)1
父が熱く語り出す度に、やんわり間に入ってくれた母はもういない。

ある朝からいない。

母がいなくなって、母よりも年上のメイドの五月さんに懐き、
「さつきさん遊ぼう」とか
「さつきさん今日学校でこんな事があってね」
などと話し掛けていたのを見かけた父は、ある時突然五月さんをクビにした。


「京極お前は分かってない。お前は使用人を使う人間なんだ。さん付けで呼ぶなんておかしいし、馴れ合うもんじゃない」


幼いながら、父が疎ましいと感じた瞬間だった。

なぜ母が出て行ったのか、子供ながらに分かった気がした。

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