みんなの冷蔵庫(仮)1
佐田は今度野球をやろうとか、柔道を教えてやるだとか、いろいろな提案をして僕をはしゃがせた。

とにかく僕は楽しかった。

当たり前のようにあるお金を好きに使っても、こんなに胸が熱くなる時間は今までなかったから。


僕だけを見てくれている。
使うとか使われるとかではなく、対等に話をしてくれる大人。

僕は、興奮し過ぎて話の途中、夢中で佐田に抱き着いた。

感極まったというか。

急に押し寄せた高ぶる感情が、幼い僕には処理できなかった。

赤ん坊や幼児が抱っこを求めるように、甘えが出たのかなんなのか。

とにかく佐田に飛び付いた。

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