みんなの冷蔵庫(仮)1
佐田は多分びっくりしていたけど、

「肩車してやる」

と言って肩に乗せてくれた。

肩車は、あれが最初で最後だと思う。

今思い出すと恥ずかしくて仕方ないが、あの時は胸いっぱいになった。

何かわからないもので胸が満たされて気分がよかった。


佐田は飲み屋街でタチの悪い連中に絡まれた父を助けたのがきっかけで、ちょうど定年を迎える運転手の代わりとして雇われる事になった。

その数年後秘書になったから、意外とできる奴だと見込まれたのかもしれない。

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