みんなの冷蔵庫(仮)1
とにかく、僕は佐田に肩車をしてもらった日から、次はいつ佐田に会えるのかと心待ちにしていた。

女の子と一緒の時の熱とは違う新しい感情に、僕は自分自身をコントロールできない程、期待していた。

長い長いかくれんぼで、やっと自分を見付けてくれた、そんな気分だった。


しかし、次に会った佐田はスーツを着ていて、僕を見て丁寧にお辞儀をし、こう言った。


「佐田です。よろしくお願いします」


この時の僕はひどく混乱していて、よく思い出せないが、激しく泣いたと思う。

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