みんなの冷蔵庫(仮)1
また五月さんみたいにもう会えなくなるのか、とか、お前も「使われる者」なのか、とか言いながら泣き叫んだ。

すると佐田は僕を抱きしめて、耳元でこう言った。


「京極さん。私はあなたのお父さんに雇われた者ですが、あなたに雇われた訳じゃない」


僕は訳がわからず、鳴咽を漏らしながら、すぐ目の前にある佐田の顔を見て首を傾げた。

「いつだってあなたの幸せを願っていて、いつだってあなたの味方で、いつだってあなたが好きなんです」

そう言って僕の頭に大きな手を乗せた。


「これ、うちの母がよく私に言ってくれていた言葉です。使用人の立場でなんですが、兄のようにあなたを見守らせて下さい」


佐田がそう言うと、僕は大きく頷いた。



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