みんなの冷蔵庫(仮)1
苦しい
嘘みたいにスムーズに練習は進む。

クマのぬいぐるみは事もなげに冷蔵庫の中に入って、出る。

大きいからと、特別苦労する事はなかった。

強いて言えば、朝から何度も練習をしているからか、軽い頭痛がするくらいで。

ぬいぐるみを出し入れして三回目に、シグマが深いため息をついた。


「クマ極さんでの練習はもうよくない?」


クマ極さん……

多分、クマの京極で「クマ極」なんだろうけど……突っ込む気分になれなかったのでスルーした。


「時間も遡ってる気配はないし、ストップウォッチも停止したりしてない。そろそろ生き物を入れようか?」


クマの腕にはめた腕時計も、首にかけたストップウォッチも、何の変化もなく戻ってきた。

念のため二個のストップウォッチを同時に押し、一つをクマに、もう一つは部屋に置いたままにして冷蔵庫を開閉したが、帰ってきたクマに着いているストップウォッチは、もう一つと全く変わらず時を刻んでいた。

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